今年も恒例のオールドレンズ・ライフが発売された。
回を追って、取り扱うネタが少なくなって来るのではないか?大丈夫なのか?と心配しているのだが、読後の感想としては、レンズの作例もあり、内容も多岐にわたっており、例年と同様に安定したクオリティで楽しませてくれるものだった。発売からしばらくたってしまったが、他の方の参考になるかわからないが、読後の感想を載せたいと思う。
本書を読んで感じたこと
オールドレンズ・ライフは今回に限らずシリーズを通して作例集としての側面もあるが、一貫してレンズの説明にレンズの生い立ちや歴史的な事が書かれていることが多く、また文章も上手い。レンズの性能や描写には関係のないといえばそれまでだが、そういった部分を含めてこそのオールドレンズであるという筆者のこだわりを感じる。
この部分だけでも、本シリーズを買う意味があるのではないかと個人的には思います。
それと、読み進めていくうちにオールドレンズ・ベストセレクションを読んでいた時と同じ感覚に襲われた。マウントアダプタについての言及が殆どないのだ。今の時代は、そんなこと心配しなくても、マウントアダプタメーカーのサイトを見れば、対応していないマウントが無いくらい数があるので、付けられないということはないのだろう。
恵まれた世の中だと改めて感じる。
ベースボディについても言及無く、ほぼすべてがソニーかライカのフルサイズ。これが当たり前の世の中なのだ。
そのため、これからオールドレンズを使ってみようと思っている方には、結構不親切。本来であれば、オールドレンズライフの初めのほうを読んでいただきたいと思うのだが、すでに新品で買える流通在庫もないため、
の2冊を読むことで、一通りのことを理解できるためお勧めしたい。
そのうえで、さらなる深みを目指すのであれば、本書は最適だ。
書籍の構成について
ざっと以下のような感じ。
- オールド中望遠レンズ特集
- 復刻レンズとオリジナルレンズの描写比較
- レンズ改造
- オールド広角レンズ特集
- マニアが使う名レンズ
- オールドレンズマニアかく語りき
- レンズフードドレスアップ
単焦点レンズといえば、まずは標準の50mmを攻めるといった暗黙のルールがあり、御多分に漏れず自分も標準レンズを大量に持っているが、この標準レンズというものは、標準というだけのことはあって、オールドレンズでも現行レンズでも今まで幾度となく雑誌や書籍で取り上げられているレンズであるが、今回本書では、中望遠や広角のオールドレンズといった切り口で、レンズをチョイスしており、この視点は面白い。
オールドレンズでこのような比較方法をしている書籍を見たことがないので、この本が初めてなのではないだろうか。
自分が撮りたいものがあって、どの画角使いたいという目的がある人によっては、レンズ選びの良い指標になるに違いない。
また、不可逆的なレンズ改造については、商業的には、アンタッチャブル感がありそうなのだが、そのあたりについて言及しているのも非常に珍しいので、貴重な資料となりそうだ。
そして、個人的に今回の中で最も興味深かったのは、オールドレンズマニアかく語りきである。あまり主義主張をしない(と思っていた)澤村徹氏が自身の主張をこれほど発信するのは非常に珍しい。
自分自身も含めて、オールドレンズを使っていることでの悩みや他人から疑問に対して、明確な解がなく、モヤモヤしたことのある人は、この記事を読むことで自分自身の答えのヒントとなるかもしれない。
まとめ
オールドレンズ・ライフも今回で8冊目となるが、回を追うごとに、初めのほうでは、取り上げにくかった細かな内容まで、取り上げるようになってきているように感じる。次回はどのようなネタを投入してくるのかが、楽しみといった感じだ。