自分の好きな描写を探求できる!完全保存版の「オールドレンズ・ベストセレクション」発売

2018年2月19日発売のオールドレンズ・ベストセレクションを澤村徹さんより献本いただいたので、久しぶりに気合を入れて、ブログを書いて書籍を紹介したいと思います。

今まで発売したオールドレンズ・ライフをベースにしているということで、368ページの大ボリューム。筆者のオールドレンズヒストリーがまとめられた一冊で、集大成にふさわしい厚みです。試しにノギスで計ったら、23.97mm、ボリューム満点、軽く鈍器ですね。

上記の通り、決して持ち運びには向かないサイズですが、掲載内容としては充実しており、172本ものレンズを紹介されています。オールドレンズの入門から、足を突っ込んで引き返せなくなる沼の中までの一連のレンズ達の描写を案内してくれるガイドブックとしては非常に適したものです。さしずめ「レンズの歩き方」といったところでしょうか。

本書を読んで感じたこと

今回の書籍を読んで、最も斬新だと思ったことは、マウントアダプタについて全く触れられていないということです。

デジタルカメラでオールドレンズを使うという話が出てきた当初は、フランジバックとセンサーサイズの兼ね合いで、かなり限られたカメラとマウントからチョイスせざるを得ないことが当たり前で、むしろ使えない組み合わせのほうが多かったため、組み合わせに非常に苦労するような時代でした。

しかし、パナソニックのG1発売によりフランジバックの短いレフレックスカメラでは使えなかったレンズがM4/3で使えるようになったことで、今まで脚光を浴びることのなかった様々なレンズが日の目を見ることなりました。

その後、オリンパス、富士フィルムといったミラーレスでもマウントアダプタの充実により、オールドレンズ用ボディの群雄割拠時代に突入したわけですが、ソニーのα7が発売されてからは「フルサイズ+短いフランジバック」ということで、αマウント用のマウントアダプタが一気に発売され、覇権争いに終止符が打たれた形となります。現在はα7一択のデファクトスタンダード時代に突入し、アダプタがなくてレンズが付かないだとか、フランジが足りなくてレンズが付かないといった問題がほとんど解消してしまったため、昔のように組み合わせで苦労することも少なくなりました。

本書はそのあたりの時代背景を非常に表しているように感じました。

つまり、オールドレンズを使うにあたり、デジタルカメラボディを選びそのボディで使える限られたレンズの中から自分が好きなレンズを探すということから、純粋に自分が好きな描写をするレンズを選ぶということへのパラダイムシフトを表している本です。

純粋にレンズ描写の好き好みで、レンズが選べるようになった今の時代は本当に幸せな時代だなぁと感じます。

その一方で、マウントアダプタの情報がなくて困るという方もいるかとは思いますが、そこについては心配無用、著者の「マウントアダプター解体新書」に十分なマウントアダプタ情報が大量に投下されていますので、そちらを買えば解決します。

そちらを買ってねと営業的な意味もあるのかとは思いますが、個人的には、レンズはレンズ、マウントアダプタはマウントアダプタという風にきれいに分けてまとめてあるため、保存用の書籍としては、非常に好感が持てました。

書籍の構成について

書籍の構成としては、

  1. 一眼レフ用レンズ
  2. レンジファインダー用レンズ
  3. シネレンズ
  4. 改造レンズ

の大きく4つの構成になっており、各レンズマウントごとで分けられている構成となっています。

高いレンズから安いレンズまで、メジャーどころは殆ど抑えているチョイスです。
その中で、意外だったのが、シネレンズに結構なページ数が割かれていたことです。

私は、やはりメインで使いたいオールドレンズは、シネレンズで、それもアンジェニューのレンズです。
オールドレンズを使うということは、趣味性の高いことですから、人に何と言われようと自分が好きなレンズが使いたいというモットーが自分にはあります。

しかしながら、最近ではシネレンズも随分と下火になり、今やシネレンズを使っている人というのは、絶滅危惧種に近い中、一時代を築いたレンズに対しても万遍なく取り上げられているというのは、個人的にはうれしい構成でした。

ページ構成についても左側のページは1ページ丸々写真となっており、レンズの描写の特徴をできる限り伝えようという意図を感じる構成となっています。レンズの外観や金額の相場などレンズ選びの参考になる内容も記載されています。

まとめ

オールドレンズで撮影するということは、現行レンズで撮ることよりも趣味性の高いことですから、個人的には、自分が好きだと思ったレンズで自分の撮りたいように撮ればいいと思っています。

本書のページをめくりながら、自分の気に入ったレンズの描写を探していくことで、値段や周りの人の評価は関係なく、今後の自分の相棒となるレンズが見つかるかもしれません。ちなみに私は、本書を読んでまた欲しいレンズが増えました。

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